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動物性堆肥(鶏糞・豚糞・牛糞・馬糞)の種類とメリット・デメリット

はじめに、販売されている堆肥の成分にはばらつきがあります。動物性堆肥の場合、食肉用なのか、酪農なのか、飼育環境や与えるエサ、そして堆肥化させる時に加える副資材の種類(おがくず、籾殻など)によってそれぞれ異なるので、ここでは一般的な動物性堆肥の特徴をお伝えします。

動物性堆肥とは

主に鶏、豚、牛、馬などの家畜ふんを発酵させて堆肥にしたものです。
植物性の堆肥に比べて土壌を改善する役割とともに肥料の成分も含まれています。
また、米や野菜などの農産物を収穫した後のわらや収穫くずが家畜のエサとなり、その家畜のふんから堆肥が作られ、その堆肥で農産物が育つ。このように国内で、各地域で、有機資源を循環させながら農産物を生産する営みは、地力を維持し、持続性が高い理想的な農業体系といえます。

ふんの量によって肥料成分が異なる

なぜ動物の種類によって成分に差が生じるかというと、食べている物が違うからです。
牧草などを主食とする牛や馬のふんには植物性有機物が多く含まれているのに対し、たんぱく質や炭水化物が多く含まれるエサを食べる鶏や豚のふんには肥料成分が多く含まれています。
また、堆肥化する過程で副資材を混ぜる割合でも肥料としての効果が変わってきます。
・鶏糞堆肥は植物性有機物はほとんど含まれない
・豚糞堆肥はふんと籾殻やおがくずとの割合が7:3
・牛糞堆肥はふんと籾殻やおがくずとの割合が4:6
・馬糞堆肥はふんと稲わら、落ち葉との割合が1:9
※割合や副資材の種類は製品により異なります。
このような理由から
鶏糞、豚糞、牛糞、馬糞の順に肥料成分が多く含まれ、 
馬糞、牛糞、豚糞、鶏糞の順に土壌改良としての効果が高くなります。

鶏糞堆肥

肥料成分が高く即効性があるため、土壌改良に使うというよりも肥料として使用する場合が多い堆肥です。特に花や実つきを良くするリン酸が高く、採卵鶏糞についてはカルシウム含量が高いと言われています。化学肥料と同等の肥料成分があり即効性があるものの、土壌で分解されやすいため効果が切れるのも早いという特徴もあります。

豚糞堆肥

鶏糞堆肥同様、肥料成分が高く即効性があるため、土壌改良として使うというよりも肥料として使う場合が多い堆肥です。でんぷんやたんぱく質が多く、繊維質が少ない飼料を食べているので、肥料の効果が高いです。また、銅や亜鉛などの重金属が含まれている量も多いことが特徴で使用する人は徐々に減少してきています。

牛ふん堆肥

草食である牛の糞には繊維質が多く含まれているため、土に混ぜる事で土を柔らかく排水性や保肥力、保水性を高めます。

【肥料成分】
肥料成分は鶏糞、豚糞に比べるとやや低く肥料としてではなく土壌改良として使われます。
植物の生育に必要な窒素、カリウム、リン酸がバランスよく含まれているのも特徴です。
窒素は茎葉を伸ばし、カリウムは健全な根を育て、病害中への抵抗力を高め、リン酸は花や実つきをよくする栄養素です。

【牛糞堆肥のデメリットは?】
肥料効果が少なく、効き目が穏やかなので一度使っただけでは大きな変化はありません。何度か繰り返し施用することによりゆっくり時間をかけて土壌を改良していきます。
また、飼育時に塩を舐めさせていることからふん尿にナトリウムが多く含まれています。大量に使うと塩害がおきる事もあるので注意が必要です。
※平山堆肥で引き取っている牛糞は食肉用ですが、飼育時に塩は舐めさせていません。安心してお使いいただいている理由の一つでもあります。

馬糞堆肥

馬糞と植物性資材の割合は1:9のため土壌微生物が活性化しやすくなります。そのため動物性堆肥の中で一番土壌改良としての効果があると言われています。保水性、保肥性も馬ふん堆肥は優秀です。有機物が多く含まれるため水はけが悪い粘土質の土壌や保水性が悪い土壌の改良にオススメです。

【肥料成分】
肥料成分は鶏糞、豚糞、牛糞と比べると低く肥料としてではなく土壌改良として使われます。
植物の生育に必要な窒素、カリウム、リン酸がバランスよく少量含まれています。

【馬糞堆肥のデメリットは?】
最近の研究では完熟堆肥の窒素はゼロで見た方がよいという見解もあります。また馬糞堆肥には藁などの炭素率の高い敷料が含まれていることが多いため、これらを分解する際に窒素を沢山吸収してしまうので作物に窒素がいきわたらない「窒素飢餓」を起こさないように、窒素肥料を多めに施用することを頭に入れておくと良いと思います。

各種堆肥の成分含量の目安

千葉県農林総合研究センターの公表しているデータと平山堆肥の成分を比較して挙げます。

千葉県堆肥利用促進ネットワーク畜種別堆肥の特徴」 より

平山堆肥の馬糞堆肥

一般的なデータに比べ肥料成分が多く含まれていますので、肥料効果も期待できます。なぜかというと、平山堆肥では競走馬の糞を使用しているため、食べ物が藁だけでなく、トウモロコシやにんじん、リンゴなどバランスよく食べている為です。また、競走馬のふんに様々な資材を入れることで鶏ふん同様の肥料効果、さらに土壌改良が同時にできる堆肥作りをしています。

気になる匂いの問題

「動物性の堆肥」というと匂いがきつい!など嫌なイメージが多いと思います。デメリットして匂いをあげている記事もたくさん見かけます。
鶏糞、豚糞に関しては完熟堆肥であってもかなり年月をかけて熟成させないと匂いは残ってしまいますが、牛糞、馬糞に関してはしっかり処理をし完熟堆肥であれば匂いはしません。
平山堆肥の牛糞、馬糞堆肥はもちろん匂いはありません。感じるとすると土のような良い匂いです。

動物性堆肥の他に食品関係、林業関係、排水汚泥関係で出た産業廃棄物を堆肥化するリサイクル堆肥の取り組みも増えてきています。
たくさんの種類の堆肥がありますが、まずは入れたい畑、お庭の土がどのような状態か知ることから初めてみてください。
その上でどの堆肥を入れたら良いか、施肥量等を決定することが大事です。
平山堆肥でも土壌診断のお手伝いが可能です。お気軽にお問い合わせください。

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