梨農家さんの馬糞堆肥を使った土壌改良

千葉の梨は市川や松戸などが有名ですが、富里や四街道でも美味しい梨が採れます。
その中でもみんなが口を揃えて「ここの梨が美味しい!」と絶賛するのが、富里市御料で梨農家を営む「芳徳梨園」さんです。
芳徳梨園さんでは、幸水・豊水・新高・なつひかり・あきづき・かおりを広大な畑で栽培しており、時期により様々は品種が楽しめます。

芳徳梨園さんでは平山堆肥の馬糞堆肥を10年ほど使用して頂いており、今回は堆肥のお話をはじめ、梨の栽培やこだわりについてもたくさんの貴重なお話を伺うことができました。

プロの梨農家としての施策

梨農家として営むには土壌改良だけでなく、様々な病気から果樹を守るためどうしても殺菌消毒は欠かせないものです。
特に発生しやすい病気が「黒星病」でカビによって伝染する病気です。
葉に褐色又は黒っぽい斑点が徐々に広がり、黄変し落葉してしまう他、果実にも黒っぽい病斑を生じ、すすのようなカビが生えるのが特徴です。
芳徳梨園さんでも経験があり、月数回の消毒は欠かせない作業となっています。

馬糞堆肥を使用する前は

豚糞堆肥は安価に手に入るが匂いがきつく気に入らない、その後牛糞堆肥を3〜4年使用したが、ベチャベチャで発酵しきっていない牛糞堆肥にも違和感を感じていました。
その後、ルートを変えて仕入れた牛糞堆肥を使用していたところ、堆肥散布機が錆び出したそう。
発酵されていない堆肥(中熟堆肥)はアンモニアが強く堆肥散布機を錆びさせたのではないかの事でした。

馬糞堆肥との出会いと感想

そんな中、自ら噂を頼りに探し出したのが平山堆肥の馬糞堆肥(サラブレッドコンポスト)。馬糞堆肥を選んだポイントは2つ、「散布のしやすい完熟堆肥」と「カリウムが少なめの堆肥」でした。
前述の通り、熟成していない堆肥は成分的にも良くない部分があるが散布機にもダメージがあった為、完熟の堆肥にこだわったそう。
また馬糞堆肥にはワラ系資材が使われる為、カリウム過多にならないような物を選んだそうです。
と、科学的根拠は大事ですが農場主の栗原さん曰く「一番大事なのは信じて続ける事」だそうです。
微量要素の多少の作用で大きな変化は起こらない、なんとなく良いと感じた“農家の勘”を大事にしているとの事でした。

土の中は良い菌と悪い菌の陣取り合戦

畑の土の中には様々な菌がいて陣取り合戦をしている。堆肥を入れるもう一つの目的がこの良い菌が優勢になる土壌づくりにあるとの事でした。
果樹農家さんにとって厄介な病気「白紋羽病」も土壌の病原菌が関係する病気の一つです。
馬糞堆肥を使用した土壌改良だけでも白紋羽病対策には効果的ですが、今回は乳酸菌を加えた梨農家専用の馬糞堆肥を提案させて頂きました。
白紋羽病の改善を促しながら、樹勢の回復も目指す試みとなりますが、結果はまたご報告させてください。

堆肥とミネラル、微生物の導入によって病気の無い圃場、化学肥料の削減、微力ながらも農薬の削減に繋がるように実例を増やしていきたいと思っています。

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