最近面白い本を教えてもらいました。
山形県鶴岡市で庄内の食材にこだわったイタリアンレストラン『アル・ケッチァーノ』のオーナーシェフ奥田政行さんの著書『地方再生のレシピ』より、気になった個所をご紹介したいと思います。
地産地消を大事にするシェフが、多くの生産者さんの作物を食べてきた経験から、農法によって異なる味の違いを平均的な数値で表しています。土の状態や肥料の与え方で野菜の味の特徴が変わってくるのでそれぞれに合わせて調理方法を変えているのだとか。また、野菜の味には生産者の人柄が映し出されるとも仰っています。あくまでもシェフ個人のご感想ではあると思いますが、とても興味深かったので一部共有したいと思います。
ここであげていた農法は『慣行農法』『自然農法①』『自然農法②』『有機農法』『森林農法』
この5つ。
『慣行農法』~戦後の食糧難から高度経済成長を支えた大量生産農法~
土は農薬・化学肥料を使用している。
・味のパワー× 静かな味でちょっとした苦み。アクが出る。
『自然農法①土壌改良をしていない』~原始的な農法~
野菜に適した微生物が少なく雑草が優勢。土が硬い。
・味のパワー〇 わんぱくな味で苦い、硬いなど何かが突出している。
『自然農法②土壌改良をしている』~自然の循環と健康を意識した考え方~
植物性堆肥を与えており土が柔らかく微生物が多い。畑に生態系ができている。
・味のパワー△ おしとやかで野菜の遺伝子の持つ味が際立っている。
『有機農法』~安全とおいしさを追求する農法~
動物性堆肥を与えている。
・味のパワー◎ 糖度・香り・野菜の遺伝子の味を率直に感じる。味がグラマー。
『森林農法』~地球資源を最大限に生かす持続可能な農法~
山の腐葉土を利用。
・味のパワー〇 みずみずしく力強い。滋味が濃い。
なんと動物性堆肥はこの5つの農法の中で味のパワーが唯一の◎!
農法の違いで野菜の味にもちょっとずつ違いが出てくるというのは、野菜を選ぶときに参考にしたいですし面白いですよね。
その他にも食べた後味や食感、香りなど細かな評価も加えられています。具体的な数字も記載してあるので気になる方はぜひ読んでみて下さい。
農家さんはいろんなこだわりをもって作物を作られているので、何がダメだとか絶対この農法の野菜じゃなきゃダメという否定をしたいわけではなく、こんな料理を作りたいから自然農法の野菜を選ぼう!などいろんな野菜を食べる、知る、興味を持つきっかけになったらいいなと思います!