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堆肥とは何か?どうやって使うのか

土作りといえば「堆肥」。平山堆肥でも社名に入るほど重要な存在ですが、そもそも堆肥とは何か?良質な堆肥生産と適切な施用方法をわかりやすく説明します。

堆肥ができるまで

堆肥の原料は家畜ふん尿、落ち葉や稲わら、食品残渣などの有機物を利用しており、そのほとんどが植物由来であるといえます。有機物を微生物の力で分解・発酵させ成分的に安定するまで腐熟させたものを堆肥といいます。

発酵(分解)が始まると初めに分解しやすい糖やアミノ酸、デンプンから分解が進みます。糸状菌や好気性細菌によって分解されその呼吸熱によって発熱が起こります。その温度は原料にもよりますが、平山の馬糞堆肥は抗生物質を常用していない競走馬のふん尿が原料のため60~70℃とよく発酵します。

(白い糸のようなものが糸状菌)

糸状菌とは「カビ」と呼ばれているものを指しキノコもその分類に入るので堆肥からキノコが生えているなんてこともあります。ただし糸状菌は50~60℃以上になると生育しにくくなるためキノコや雑草の種、植物に悪さをする病原菌はここで消滅します。
次に高温性で好気性の放線菌が増殖してきます。糸状菌が分解できなかったセルロースを放線菌が分解することで、分解しにくい繊維質などの分解がはじまります。

(白く粉をふいているようなものが放線菌)

最後に放線菌の食べる餌がなくなると、温度がゆっくり下がり様々な微生物が繁殖しはじめます。やっと堆肥として利用できるようになり、ここまで通常では約4~5ヵ月以上の月日がかかります。
平山堆肥では更に微生物の多様性、分解速度を求めて乳酸菌と呼ばれる数十種類のバクテリア、植物の成長に必要な微量要素ミネラルなどを発酵促進のために混ぜることで有用微生物が増え、病気に負けない強く健康な土壌を作るための堆肥作りに挑戦しています。こちらの詳細はまた別途お知らせしたいと思います。

肥料と堆肥の違い

堆肥というと、肥料のことね。と考える方も多いと思いますが実は全く違う物です。
「肥料」が窒素・リン酸・カリなどを植物の根や葉から直接吸収し植物を生長させる資材であるのにたいして、「堆肥」とは、土壌の性質を改善し間接的に植物の生育を良くするための資材“土壌改良材”です。簡単に考えると、肥料は植物に速攻で効くお薬。堆肥は土台となる土から改善し、更に微量の肥料成分もふくまれているため植物に栄養がゆっくり効く漢方のような役割をします。

堆肥のもつ力

土は植物が根を張るための土台です。水や空気、肥料分を植物に供給する大事な役割を持っています。肥料しか使わずに植物を育てると微生物の少ないカチカチの土になってしまいます。これでは水や空気がうまく供給されず植物は元気に育つことができません。いつ病気になってもおかしくない状況です。私達人間もその場しのぎで薬を飲み続けるのと、食生活習慣を見直し身体の内から元気になっていくのとではやはり違いますよね。

堆肥を栽培前に土に混ぜることで微生物が増え、その微生物が有機物を分解する働きによって土壌中に隙間を作りふかふかな柔らかい土にしてくれます。その隙間は水や空気の通り道となり、根をしっかりと張るスペースができます。良好な堆肥は多様な微生物を持つため病原菌の増殖を抑制する効果もあり、植物がすくすく健康に育つためとても大事な力を持っています。微生物も多様性が重要です。

堆肥の使用方法

堆肥を入れたいプランターや畑の土に対して2~3割程度混ぜます。
1㎡あたり2〜3㎏、1畝あたり300㎏~500㎏、1反あたり1~2tが目安です。
初めて堆肥を使う場所では、有機物不足でカタくなっている場合があるため少し多めにまいても大丈夫です。
平山の堆肥は完熟堆肥なのでプランター植物の植え替え時には特別1週間前から準備する必要もなく、直前に混ぜてかまいません。畑にまく場合は量も多くなるので苗を植える時期を考慮し、計画的に事前に投入しておくことをオススメします。

堆肥を入れることは少し手間がかかりますが、一手間加えることで格段に良い土になります。良い土が野菜をおいしく、植物を美しく元気に育ててくれるのです。

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