前回は土壌診断に基づいて塩基バランスやPhについてみていきましたが、今回は窒素の施肥量について考えていきたいと思います。
ここでも参考にしたいのが、各県の土壌に合わせた「作物別施肥基準」という指標。
【出典】Ⅰ-2持続的生産を可能にする土づくり(1)~(3)p15~17 (chiba.lg.jp)
土壌分析の処方箋と照らし合わせて窒素量を調整します。
・硝酸態窒素の分析値が10㎎/100g未満であれば基準通りの施肥
・硝酸態窒素が20-25mg/100gを超える場合無施肥
下記の土壌診断結果をみると、硝酸態窒素の値が0.39
なので、基準通りの施肥(3~5kg /10a)で考えます。
※土壌診断結果
窒素の量は?何の窒素を使用する?
10aの畑に3〜5kg ということは、10aは1000平米で、今回の畑49平米に対しては1000平米の4.9%。なので3〜5㎏の4.9%という事になりますね。147g〜245g程度でしょうか。
入れる窒素量の目安がわかったところで、次は今回のさつまいも圃場にどんな種類の窒素を入れていこうか?と考えた時にここでも大事になるのが、さつまいもの一般的な特性を知っておく事。
さつまいもの窒素の特性として、植え付けをした時期(5〜6月)は窒素を控え、イモが分化した後(7月〜9月)は窒素を効かせる。そして収穫前の(9月後半〜10月)は窒素を再び抑える必要があります。
このような場合、通常の窒素を最初から入れてしまうのではなく特殊な窒素を用います。一般的なのが「LPコート」という窒素。作物の生育に合わせて肥料成分の溶出を調整する被覆尿素肥料となります。天然鉱物などの材料で特殊加工した膜で、粒状尿素をコーティングしたものです。また、肥料成分の溶出を予測することができるため、作物が必要な時期に必要な量だけ肥料を効かせることも可能な肥料。
今回はこのLPコードを使おうと考えていたのですが、今回必要な量は147g〜245gとかなり少量です。20kg入りのこの一袋を買ってしまうのは非常にもったいない!!
LPコード
尿素
という事で、コメリなんかでも500円程度で売っている画像右側の「尿素」を使用することにします。尿素は窒素系の肥料として広く使われています。
1袋550g入りで、窒素含有量46%なので1袋に253g分の窒素量が入っているという事になります。なので、今回の使用量は約1袋の使用になりますね。全量を使うかは2,3回にわけて様子を見ながらの使用が良さそうです。
こちらは水に溶けるので窒素が必要な時期(7月中旬ごろ)液肥として、撒きたいと思います。せっかくなので、土壌医の先生達が今年の秋に販売を開始するアミノ酸の液肥と一緒に溶かして撒いてもらおうと思います
アミノ酸肥料について
窒素と一緒に撒いてもらおうと思っているアミノ酸は、腐植酸と食品グレードのアミノ酸を使用しているので、必然的に野菜もおいしくなります。味の素的な?(違うけど)
このアミノ酸の特徴は葉の成長を抑えて根っこ量を増やし、根の張りを良くする肥料です。
もともと植物は光合成をすることでアミノ酸を作りだしますが、今回の学校圃場のような校舎と校舎の間で、日が当たらないために光合成がうまくできず、アミノ酸を作れない場合でもアミノ酸を直接吸わせてあげることができるので最適です。根をしっかり張らなくてはならない根菜類などにピッタリな肥料なのです。
また、ミネラルや有機酸も含まれています。イオン化したミネラルには抗酸化力をあげる働きがあるので、植物の自己免疫力が上がり病気や虫食いにも負けない作物を作ることができます。有機酸とは根っこで作られる「根酸」と呼ばれるもので、リンなど作物が成長するのに欠かせない栄養素を酸性化し、溶かして吸収する働きをします。
【アミノ酸 バイオスティミュラント資材の実験結果】
土作りに大事なことってなんだろう
堆肥で土壌を整えた後、用途や圃場の大きさに合わせて肥料を選定する。家庭菜園などこれから始めてみようと考えている方には少し難しいかもしれません。様々な種類の肥料があるので、正直何を選んだら良いか?何が正解なのか?迷ってしまうと思います。
「信じて使ってみる事が大事」とお世話になっている農家さんが教えてくれましたが、自分で選んだものを信じてみることって作物に限らず何をするにも大事ですよね。効果があるのかないのか迷いながら使うよりも、いい物だと思って信じて使うのでは、その気持ち一つで手のかけ方だったり出来上がったものの仕上がりに、やっぱり違いは出てくると感じています。私も自分の堆肥と施肥設計を収穫までの間信じてみようと思います!
学校の畑を土壌改良しよう③では、収穫まで時間があるので肝心な堆肥について書いていきます。